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「ミスター・ロマンチストの恋」 砂原糖子

ミスター・ロマンチストの恋 (幻冬舎ルチル文庫 す 1-8) Book ミスター・ロマンチストの恋 (幻冬舎ルチル文庫 す 1-8)

著者:砂原 糖子
販売元:幻冬舎コミックス
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高校三年の千野純直は、成績優秀な生徒会長でテニス部のエース。本当は内気な性格なのだがクールで渋いと女の子に大人気。そんな千野は密かに二年の有坂和志に恋している。有坂を一目見ることが楽しみな千野は、外見はかっこいいのに心は夢見る乙女。有坂もまた千野の不器用さに気付き、惹かれ始め…!?商業誌未発表作品、書き下ろし短編を収録。

何だこの可愛い子は!!
すっごく萌えた!すっごくよかった!

初出は2001年ということなのですが、千野は今で言うならオトメンってやつですね。
少女マンガのヒロインも裸足で逃げ出す、絶滅危惧種の夢見る乙女。
少女マンガを愛読し、占いには一喜一憂、大好きな有坂を遠くからそっと見つめ、机には出せないラブレター。
妄想はいつだってロマンティックなデートでキス止まり。
「エ、エッチって……あ、有坂くんはそんなふしだらなことはしない」
この台詞がとってもツボでした。
ふしだらって!笑

あ~もう可愛いなあ!
こんな乙女な男子高校生は初めてです。
受というよりヒロインと呼んだほうがいいのではないんでしょうか。
乙女ヒロイン千野。

でもそんな千野は悲しいかな、内面とは対照的にとても男らしい容姿なのです。
身長は180センチ近く、内気で笑うことが苦手なだけなのに、無愛想な印象を与えてしまう男前。
テニス部のエースでたくましく、成績はトップ、生徒会長の肩書きのおまけつき。
男子から反感をもたれても、女子にはクールで素敵だときゃあきゃあ騒がれるような存在です。
それなのに、中身は乙女。
ものすごいギャップです。

だけど千野がそんな驚愕のギャップの持ち主じゃなかったら、読んでいてこんなにもきゅんとすることはなかったと思います。
栗色ふわふわ髪の色白で華奢な美少年が、大きな瞳を潤ませつつ自分はあのひとにふさわしくないとか悩んでても、こんなふうに一緒に切なくなったり、恋がうまくいけばうれしくなったり、するはずないんです。
乙女受はそんなに好みじゃない私がこんなに萌えたのは、千野が180センチの硬派な男前だから!
ギャップは大好物です。
外はかりっと中はとろーりとか最高です。

でもそんな外見が千野には重たくのしかかるコンプレックス。
自分の男らしい容姿を気にして、思うままに動けない千野が本当に切ないです。
特に、本当のことが言えなくて受け取ってもらえなかった手作りのお弁当を一人食べながら涙をこらえる場面では、思わず涙してしまいました。
どうにもならないことって本当につらいよね。
千野は心から応援したくなります。
まじめでけなげで、こんな可愛い子は王子様に幸せにしてもらわんといかん!と思うくらいなのに、本人は自分に自信がなくて不器用なんだもん。

そんな千野の想い人の有坂は、高校生にしては落ち着いた、それこそ王子様みたいな男です。
素敵な夢を持ってるし、千野の表にはあらわれない本当の性格や気持ちを読み取れる、すっごく優しい子なんだと思います。
付き合い始めてからも、千野の好きなロマンティックな夢を叶えてくれて、それを楽しんでもくれる。
ちょっとくらい嫉妬しても、意地悪で余裕なくなっても、充分に素敵な王子様です。
むしろ、余裕がなくなって嫉妬したりしてるほうが、情熱的だし年相応だし、千野のことを好きでたまらないってわかってよかったなあ。

あと、この有坂が奥二重って設定なんですが、そこも何だか好みでした。
挿絵に自分でもびっくりするくらい萌えた…!
挿絵は千野も可愛かったですね。
男前なのにおっとりした感じが表情に出ててよかった。

見つめるだけで良い、想いが叶うなんて考えたこともなかった千野が、幼馴染の朋巳の後押しもあって、有坂に声をかけてからが、憧れじゃない現実の恋の始まりですね。
安全なところに身を置いた自己完結の気持ちとは違って、深く傷つくこともあるけれど、本当にうれしいことだって生身の有坂と接してから。
そもそも行動して相手と向きあわなくちゃ、恋は始まらないし動かないのでした。
千野が有坂はブラウン管の中のアイドルではなく、身近で生々しい存在なのだと気づくあたりの描写がとても好きです。
こういうの、きゅんきゅんしてたまりません!
読んでる側が一喜一憂できる作品は素敵です。
キャラクターも大好きだけど、お話もよかったなあ。

二人がくっつくまでが「ミスター・ロマンチストの恋」で、初えっちまでが「ミスター・ロマンチストの手紙」。
その後の二人が書かれるのが「ミスター・ロマンチストの恋人」と「ミスター・ロマンチストの春休み」。
春休みがかきおろしで、看病編で2回目のえっちです。

初えっちも可愛かったな~。
最後の会話が可愛くて可愛くてちょっと目がじわっとなりました。
付き合うようになってからも、自分が男だってことでどうしても引け目を感じて卑屈になってしまう千野が可愛いやら切ないやらで、でも有坂が千野を好きだからこそそれを歯がゆく思うのもわかるし、読みながらやきもきしてたので、余計に何だか感動しました。

そうだ、わすれちゃいけない、二人を多少乱暴かつ強引に後押ししてくれた、千野の幼馴染の朋巳。
この朋巳がまたかっこいいんです!
女の子みたいな可愛らしい容姿に似合わず強気で口が悪い朋巳ですが、実は友情に厚くてとっても素敵な男前でした。
彼女がうらやましくなるくらい。
きっと朋巳なしでは二人の恋はうまくいかなかったでしょう。
そこまでやるか!?ってことまでしてくれましたから!
一瞬、本気で千野のこと…!?とどきどきしてしまいましたが(笑)
そうじゃなくても朋巳のこと大好きです。

いや~よかった!
笑いも萌えも涙も詰まった大満足の1冊でした!

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